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ギリシア古典文学「イリアス」「オデュッセイア」 [本]

「イリアス」と「オデュッセイア」を読む

古代ギリシアの物語というと、誰もが知っているものが「トロイの木馬」で有名な「トロイア戦争」ではないでしょうか(コンピュータウイルスではありませんよ:笑)。映画としてもイケメン俳優総動員の「トロイ」が製作されていて、そちらを見た人も多いではないでしょうか。

今回はその「トロイア戦争」を描いた2つの物語「イリアス」と「オデュッセイア」を読み終えたので、感想をまとめようと思います。

トロイ 特別版 〈2枚組〉 [DVD] まず最初に驚いたことは、トロイア戦争の物語は「叙事詩環」と呼ばれる8作の作品によって完結する物語だったということ。「イリアス」と「オデュッセイア」はその8作の中の2つであり、「イリアス」は2番目、「オデュッセイア」は7番目になり、この2つの作品を読んでも詳細は分からないということ。その他の6編は残念ながら散逸し、現在は一部が残っているだけだそうです。そういう事情をふまえ、あらすじを簡単にまとめてみると「イリアス」はトロイア戦争開戦後10年目にアキレウス(アキレス)と大将アガメムノンの口論から始まり、敵方(トロイア)の大将ヘクトルの葬式までの物語を綴ったもので、残念ながら有名な木馬は登場しませんし、アキレス腱の元になったアキレウスの死も描かれていません。そして「オデュッセイア」では、戦争が終結し帰国しようとしたオデュッセウスが海の神ポセイドンの恨みをかってしまい、冥府から巨人の国まであらゆる場所を漂浪しながら最後に帰国を果たす物語になっています。

ここで「イリアス」の感想に入る前に、どうしてトロイア戦争が始まったかを簡単にまとめたいと思います。


ある日、トロイアの王子パリスの前に三人の女神(ヘラ・アプロディテ・アテナ)が現れ、三人の中で一番綺麗な女神は誰かと聞きます。それぞれの女神は、もし自分を選んでくれたら特別に贈り物をしようとパリスを買収し、パリスは「最も美しい女を与えよう」と約束したアプロディテを選びます(パリスの審判)。ところが、アプロディテが約束した最も美しい女・ヘレネーはスパルタ王の后、それでも女神を見方につけたパリスはヘレネーを掻っ攫います(やっちゃったよ・・・)。それにキレたスパルタ王は、他の国の王達と協力をし、自分の弟であるアガメムノンを連合軍の大将とし、へレネー奪回に向けてトロイアと戦争をすることになったのです。

ここから「イリアス」がスタートです。
物語の冒頭は連合軍の大将アガメムノンとアキレウスの喧嘩から開始です(先が思いやられます)。原因はアガメムノンが、アキレウスの側女を横取りしたことにアキレウスが怒り、戦争放棄(こちらも女問題です:汗)。「謝っても絶対に許さないぜ!!」とアキレスはマジギレ状態(アキレウスってキレキャラなのね:涙)。戦争と全然関係ないところで見方同士が喧嘩してしまし、連合軍(アカイア軍)最強と言われるアキレウスが戦線離脱をしたことにより、トロイア軍はイケイケドンドン状態。トロイアの王にしてパリスの兄ヘクトルは勇猛果敢でトロイア最強の武将。アカイア軍が動揺しているところをつき快勝を続けていきます。雷の神・ゼウスにも愛され、太陽の神アポロンやヘラが見方をし、「アイギス」と呼ばれるゼウスが作らせた最強の防具も持ちまさに天下無双。一方、弟のパリスは見た目は光り輝く程超イケメンですが、実はかなりのヘタレ・・・。「武人たるもの大切なものを守るためなら一騎打ちをするぞ!」と名乗り出るものの、連合軍側の強そうな相手を見て即行で逃げ帰ります。そんなパリスの情けない姿に堪忍袋の緒が切れたヘクトルは「お前は顔以外にまともなところはないのか!!??」とキレるほど(苦笑)。自分の弟が他国のお后を誘拐してギリシアの連合軍と戦争になり、トロイアの民を守るために獅子奮迅の活躍をする苦労人のお兄ちゃんの悲哀を感じます。トホホ。

アカイア軍は、知略に長けたオデュッセウスやアイアスらの活躍でトロイア軍の進行を抑えるものの、やはりアキレスがいないことが大きくズルズルと敗退していきます。そんなアカイア軍の苦境を見たアキレスの親友にして一番の部下パトロクロスがアキレスの甲冑を着て参戦。それを見たアカイア軍は士気を取り戻します。獅子奮迅の働きをしたパトロクロスも最後はヘクトルに討たれてしまいます。パトロクロスの死を知ったアキレウスは、仇を討つべくヘクトルと戦い、遂にはヘクトルを討ち果たします。討ち取ったヘクトルの死体はアキレウスが、これでもかと言うくらい酷い仕打ちを与えますが、最終的にはヘクトルの両親の元に返します。その後、ヘクトルを倒したものの大切な親友パトロクロスを亡くしたことでアキレスは意気消沈(涙にくれて話が出来ないほど)。それを見かねたのか、パトロクロスの魂はアキレスの前に姿を見せ、自分を埋葬してもらえないと冥府の館に入れないと訴え、ようやく埋葬するのでした。ここまでで「イリアス」は終了。その後は皆さんもご存知のように、オデュッセウスの発案により、アカイア軍の精鋭を中に入れた大きな木馬を造り、神々への供物として解釈したトロイア軍はこの木馬を城内へと入れ、木馬の中で待機していたアカイアの精鋭達は夜中に木馬から出て、トロイアの町を陥落させます(この時にアキレウスは矢にアキレス腱を貫かれ死亡)。

そしてこのトロイア戦争が終わったあと、アカイア軍の武将オデュッセウスが自国に帰国するお話が「オデュッセウス」へと続きます。トロイア戦争で木馬を発案し、自らも木馬の中に入りトロイアを陥落させたオデュッセウスは、国に帰る途中海の神・ポセイドンの息子の目を潰したことにより神の怒りをかい、10年近く諸国を放浪をすることになってしまいます。苦しい旅のなか、自分のことを常に守ってくれる女神アテナイ(アテネ)の支援を受け、色々と知恵を絞り何度も苦境を脱しながら家へと向かいます。またオデュッセウス苦難の旅の間、彼の帰りを待つ息子・テレマコスは、オデュッセウスの妻であり彼の母を妻にほしいという求婚者達から母を守るために父を探す旅に出かけます。トロイア戦争の生き残りの王達の国に行き、トロイア戦争の話を聞き、父は生きていると感じたテレマコスは家へと帰り、成長した彼は求婚者達から家を守るために頑張ります。最後は姿がばれないように乞食に化けたオデュッセウスが帰国し、テレマコスと一緒に不埒な求婚者達を皆殺しににして、一件落着となります。

この2つの物語はホメロスという吟遊詩人によって作られたことになっていますが、「イリアス」と「オデュッセウス」を実際に読んでみると、物語の勧め方やテンポなど全く違い、同じ人物が作ったものとは思えません。つらつらと話が進んでいく「イリアス」に比べ、「オデュッセウス」は物語のテンポも良く、ストーリーも面白く飽きることなく読めます。また古くから教養として広く読まれていたようで、オデユッセウスの影響は到る所に見受けられます。映画「2001年宇宙の旅」の原題は「2001: A Space Odyssey」ですし、日本では車の名前に採用されていますよね。このほかにも、オデュッセウスを助ける心優しい姫として「ナウシカア」が登場します。「風の谷のナウシカ」のヒロイン・ナウシカは彼女から名前を取ったようですね。

有名なトロイア戦争のお話を扱ったこの2作品は、読み進めていくうちに先述した箇所以外にも後世の作品に大きな影響を与えた部分がたくさん登場します。なお、トロイアの王ヘクトルがゼウスから賜った(アテナイ経由)最強の防具「アイギス」は英語で読むと「イージス」になります。現在海を守るイージス艦に搭載されているイージスシステムは、この「アイギス」のように最強の防衛艦になるように名前をとったんでしょうね。「イリアス」と「オデュッセイア」両方を読むと結構長い時間が必要になるので、もしどちらかを選ぶとするならば、「オデュッセイア」をおすすめしたいと思います。話も面白いですし何よりトロイア戦争を振り返るシーンなどもあり、長い物語の概要を理解することが出来ます。今回実際にこの2つの物語を読んで、これまでイメージしていた勇者達のイメージが思い切り崩れましたが、かえって本のなかの勇者達の方が人間的魅力があって面白いですね。概要を映画で理解してから本を読むのも良いかも知れません。一読の価値ある素晴らしい作品です。

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